純正自然宣言に寄せて―ほんとうにおいしいお菓子はカラダにやさしいー
ドイツの菓子職人だったカール・ユーハイムが、日本の地で初めてバウムクーヘンを焼いたのは1919年のこと。101年の歳月が流れ、バウムクーヘンは全国で愛されるお菓子になりました。
ドイツ菓子の特長は、素材の味がわかるシンプルなおいしさ。フランスやウィーンのお菓子と違い、家庭料理の延長線上にある、日常にあるカフェのひとときに楽しむお菓子。自然のものをおいしく食べる。それこそがドイツ菓子のルーツです。
一方、高度経済成長期には、大量生産の時代となり、食品添加物が当たり前のように使われるようになりましたが、ユーハイムは“NO”の姿勢を貫きました。添加物を使わない「お母さんが子どものためにつくるお菓子」というユーハイムの原点に反していたからです。
1969年、ユーハイムは「不要な添加物を使わずに、自然の原料だけでつくる」お菓子づくりの哲学を「純正自然」の四字で表しました。
2002年、「純正自然」の実現に向き合うために「純正自然委員会」を立ち上げました。洋菓子メーカーとしてその大変さを理解したうえでの挑戦でしたが、やはり当時は果てしなく遠い目標に感じられ、一度はあきらめて解散の道を選びます。
しかし、「純正自然」の灯した火は消えませんでした。職人たちは自主的に研究開発をつづけていたのです。
2017年、リベンジをかけて再び「純正自然委員会」を結成した頃には、職人たちは添加物の不使用まであと一歩のところに辿り着いていました。そして2020年、ついに念願のバウムクーヘンにおいて添加物の不使用を実現。夢に描いた「純正自然」を実現したのです。
ほんとうにおいしいお菓子はカラダにやさしい。
私たちは「純正自然宣言」によって、次の時代の扉がひらくことを願っています。
「平和を創り出す人たちは幸せである」。生前のカールが遺したこの言葉は、ユーハイムを貫く核であります。おいしいお菓子を分かち合えるのは、平和な日常があるからです。
お菓子をつくることは、平和をつくること。
これからの100年も、子どもたちや大切な人にお菓子を届けていきたい。ユーハイムは、お菓子づくりを通じて、人と人をつなぎ、平和を創り出していきます。
代表取締役社長
河本英雄